そもそも型枠とは
WHAT’S “KATAWAKU”
コンクリート建造物を造るためには、生コンと呼ばれる固まる前のコンクリートを図面通りに固めなければいけません。しかしそのまま生コンを流し込んでも図面通りにはならないため、流し込む器を造る必要があります。これが型枠です。
型枠は職人がコンパネと呼ばれる材料を加工・組み立てることで出来上がります。材料の加工・組立は数ミリ単位の精度が求められる繊細な作業で、この職人のことを型枠施工技能士と呼びます。
国家資格である1級・2級型枠施工技能士試験に合格することで型枠施工技能士を名乗れるようになります。
「型枠」の歴史と現在
HISTORY AND CURRENT
型枠が初めて使用されたのは日本で初めてコンクリート建造物が建てられた明治32年頃と言われています。その頃は「型枠」ではなく「仮枠」と呼ばれ、仮設工事という認識でした。しかし、大正12年の関東大震災で鉄筋コンクリート造りの建物の耐震・耐火・耐風の優秀さが評価され、それ以降、型枠工事は建設工事の要として位置づけられました。
また、近年では技術の向上により、仕上げ工程(塗装やタイルなど)を省き、コンクリートがむき出しのままの状態である打放しと呼ばれる工法も増えています。デザイン性に優れており市民会館などの大規模建造物から店舗や事務所、そしてデザイナーズマンションとして住宅としても利用されており、型枠は無くてはならない存在となっています。
型枠大工とは
型枠大工とはコンクリート建造物を造るために流し込む器である型を造る職人です。型枠施工技能士になるには1級・2級型枠施工技能士試験に合格する必要がありますが、受験するためには実務経験が必要になります。1級を受けるためには7年、もしくは2級合格後2年の実務経験が必要になるため実際に現場で働く職人のみ受けることができる試験となっています。国家資格である型枠施工技能士の取得は仕事に対するモチベーションの向上に繋がります。
型枠大工の仕事
拾い出し
工事費の積算に先立って、施工図から材料の数量や体積などを算出し、現場の段取りを行います。
加工
拾い出しによって算出された材料を加工します。自社の加工場にあるパネルソーなどを使って合板を加工します。
墨出し
型枠を組み立てる際に必要な位置や大きさなどを現場に墨で印をつけます。
建込み
加工した合板を現場で組み立てます。型枠を組み立てるメインの作業となります。この型枠の精度によって仕上がりに影響してくるため、最も重要な作業と言えます。
コンクリート打設
建込みで組み立てた型枠にコンクリートを流し込んでいきます。作業自体は専門業者が行いますが、コンクリートの重みで型枠に大きな力がかかる為、打設前、打設中には入念に点検を行います。
解体
型枠に流し込んだコンクリートが固まり、十分な強度となったら型枠を取り外します。